異例の猛暑と熱中症:2025年の夏を乗り切るため(第668号 令和7年8月1日)

潮江地区 北村 容一郎

 毎年夏は異例の暑さとなっていますね。通院される患者さんの中にも、「ふらつく」「子ども
がぐったりしている」「頭が痛い」といった症状を訴える方が増えています。
 これらは「熱中症」のサインかもしれません。
 2025年の日本は、観測史上でも異常レベルの猛暑に見舞われており、ニュースでも毎日のよ
うに「熱中症警戒アラート」が報道されています。今日は、最新の時事情報と医学的な視点か
ら、熱中症の予防と対策を解説します。

【今、何が起きている?】 2025年夏の異常事態
  •現在、全国34府県に熱中症警戒アラートが発令中(7月31日時点)。
  •兵庫県丹波市では最高気温41.2℃を記録。
  •青森県でも35℃前後の高温が連日観測され、かつてない「北国の猛暑」が広がっています。
  •気象庁はこの夏を「10年に一度の猛暑リスク」と警告。
  •2024年の熱中症死亡者は過去最多の2,000人超。2025年も同等以上のリスクが懸念されて
  います。

熱中症とは? 医学的にみた危険性
 熱中症とは、暑さにより体の体温調節がうまくいかなくなり、体内に熱がこもってしまう状
態です。
 症状のレベル
  軽症           中等症         重症
  めまい・汗が止まらない  頭痛・吐き気・だるさ  意識障害・けいれん・高熱

特に注意すべきは、
  •乳幼児・小児(汗腺が未熟)
  •高齢者(暑さに鈍感)
  •持病のある方(心疾患・糖尿病など)
  •外で活動する人(部活・工事現場など)
こんな時にも!
 最新の報告では、自宅内・通勤中・避難所生活など、屋外に限らず様々な場所で熱中症が起
きています。
 さらに2025年6月からは、厚労省の通達により企業や施設での熱中症対策が法制化されまし
た。学校や保育園でも水分補給や冷房環境の整備が求められています。

予防こそが最大の治療!
基本の5原則
 1. こまめな水分補給(子どもは1時間ごとに1回)
 2. 塩分補給(梅干しやスポーツドリンクが◎)
 3. エアコンの積極活用(室温28℃以下推奨)
 4. 外出は涼しい時間帯に
 5. 子どもは帽子を、ベビーカーは日陰に

もし熱中症かも?と思ったら
 1. 涼しい場所に移動
 2. 衣服を緩め、首・わき・足のつけ根を冷やす
 3. 経口補水液やスポーツドリンクで水分・塩分補給
 4. 呼びかけに応じない・意識がない場合は救急要請!

熱中症は「自分は大丈夫」と思っている人ほど陥りやすい「サイレントキラー」です。
特に小さなお子さんや高齢のご家族のいるご家庭では、「声かけ」と「見守り」が何よりの
命綱になります。