「市長への要望書提出」 (第633号令和4年9月1日)

市長への要望書提出  7・28
尼崎市医師会 副会長 鈴木  温

 

新型コロナ感染症第7波が猛威を振るいつつある猛暑の7月28日、杉原加壽子会長以下、副会長3名、事務局2名で「市長への要望書提出」に行ってまいりました。尼崎市役所の市長室で行われる恒例の行事です。行政側は稲村和美市長以下、副市長、保健所長などもご出席いただき、推薦市議の真鍋氏、岸田氏も臨席のもと今年度の要望をお伝えしてまいりました。おりしも第7波が猛威を振るいつつあり、病院、診療所機能が麻痺しつつあるタイミングでしたので、1時間のうち前半を要望の説明、後半を新型コロナ感染症対策の現状と課題を市長に直接お話しさせていただきました。
惜しまれつつも今期で退任を表明されている稲村市長ですが、要望書に印をつけながら熱心にお聞きくださり、それぞれに関してのコメントを頂きました。また、医師会から市民へのメッセージに併せて、市長からもメッセージを発信していただくことにも快く承知いただき、早急に発信していただくことが決まりました。
その後、市議会議長室に赴き、津田加寿男議長、明見孝一郎副議長に同様のお話をさせていただきました。

 

 

2022年度 一般社団法人 尼崎市医師会要望書
前文
平素より尼崎市医師会にご理解、ご協力、ご支援を賜っておりますことに対しまして、深く御礼を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症との闘いも足かけ3年を迎えることとなりました。これまで尼崎市との密接な協力関係を持って立ち向かって来ることができましたことに改めて感謝申し上げます。市民病院を持たない尼崎市にとって、コロナとの闘いは大変厳しいものがありました。しかし、市長の強力なリーダーシップと保健所等との協力体制により、発生数の多さに比してコロナでの死亡率を抑えることができたことは、高く評価すべきことと存じています。今後も今しばらくコロナとの共存が続くと思われますが、強い協力関係を続けることができますようお願い申し上げます。
コロナでの教訓をもとに、将来の大規模な自然災害や健康危機に対してさらなる連携体制を取れるよう、また超少子高齢化社会における地域包括ケアシステムの充実を図っていけるよう、検討すべき課題は山積していると思われます。今回の要望事項の中に、今後の課題について盛り込ませていただきました。第一に重層的支援体制に関するもの、第二に救急医療体制に関するもの、そして第三に特別支援教育に関するものを重点課題と考えております。
また、新生児聴覚スクリーニング検査への助成に関しまして、再々ではございますが改めて今回要望をさせていただいております。現在県下では兵庫県との集合契約に参加している市町が25市町、また市町単独で助成事業を行っている市町は神戸市、姫路市、三田市、香美町、養父市となっております。阪神間での助成事業が進んでいない現状もあり、産婦健診・産後ケアの拡充も含め改めて要望するものであります。これからの尼崎市を支える若い世代への支援の拡充も十分にご配慮いただいているところではありますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
今年度も様々な要望を提出させていただく運びとなりました。市民の健康と生活の安心・安全を守るために、各要望に対しご理解とご対応をよろしくお願い申し上げます。

 

 

〈要望事項〉(令和4年度)
1.重層的支援体制整備事業について
~地域における困難事例に対して、我々医療者が、当事業へ積極的に参加するために・・~
世代を超えた『地域共生社会』の実現に向けて、地域住民の複雑・複合的な課題や狭間のニーズに対応する包括的支援体制を構築するための「重層的支援体制整備事業」(属性や世代を問わない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施)が、今年度から始まった。
当事業を円滑に稼働させるために、困難事例の課題を「早期覚知」し、関係する部署や組織、団体などが相互に「横断連携」し、「協調介入」しながら課題解決へ共に取り組める体制と運用が不可欠である。
我々医療者が医療・介護の現場にて、困難事例に積極的に関わり「重層的支援体制整備事業」の一端を担うために、当会として以下の3点を要望する。
(1)困難事例における課題やその対策および、その進捗状況等の情報共有が可能な体制(診療を受ける患者がどのような課題を有し、今どのようなアプローチがなされているのかを容易に把握できる体制構築→課題の見える化=全支援者による情報共有化)
(2)ICTによる情報共有
(電話や紙媒体ではなく、ICT化によりいつでも閲覧でき、常に情報更新・共有が可能な体制)
(3)我々医療者が、診療の場において早期覚知した困難課題の対応や解決策を相談できる体制(ワンストップ窓口)

2.救急医療について
休日夜間急病診療所ではコロナ禍で受診者の減少はあるが、出務医、看護師、事務職員一丸となり、できうる限りコロナ患者を含めた発熱患者に対応しようと努めている。建物の外でのトリアージ、診察、服薬指導などを徹底するため、PPEの着脱や診療後の消毒など、感染対策に努めながらの勤務はコロナ前と比較すると大きな負担となっている。引き続き、出務するスタッフの感染防御のための必要物品、適切な人員配置など、市中での感染状況や発熱患者数の動向に応じてのきめ細やかな支援をお願いする。
新・休日夜間急病診療所の建築については、市の直接施行となり供用開始までのスケジュールが示されたことについて安堵し歓迎している。災害に強い建物として、非常用電源を始めとしたインフラを災害対応とする、感染・衛生対策に配慮した診察室・待合室を確保するなど、市が示されたコンセプトは大変よく理解ができた。
但し、以前医師会館との合築計画時に当会が提案した診療所の設計図案はコロナ流行前のもので、感染対策・動線の配慮、診察室・待合スペースの配置などは、改めて現在の状況を勘案し、適宜協議の上での設計をお願いする。
また、今後指定管理制度への移行に当たっては、今まで財団が行っていた業務も当会が担うことから、適切な人員配置を見越しての人件費なども契約時に配慮をお願いする。加えて、現行の施設の老朽化に伴う不具合については、必要なところは適宜補修をお願いする。
二次救急医療では「h-Anshin むこねっと」の導入等により、救急搬送困難事例が急速に減少したが、コロナ禍により、発熱患者の受け入れ、コロナ陽性者の外傷・骨折等の受け入れのみならず一般救急患者の受け入れが困難となるケースが多くみられるようになった。市内の二次救急病院はコロナ対応で疲弊した病棟機能を抱えながらも精一杯受け入れ対応をしている。今後も高齢化に伴い、医療需要がさらに増加することが見込まれ、市内での救急受け入れ率を向上させるためにも二次救急病院へのさらなる支援・協力をお願いする。
保健所・消防局も出席している「二次救急輪番調整会議」を病院間の救急・災害等健康危機管理の連絡・協議の場として活用する事も提案する。
コロナ感染症における危機管理においては「尼崎市医師会新型コロナウイルス感染症対策本部会議」などにおいて行政と当会が定期的に協議することで、近隣自治体の中でも対応が大変うまくいったことを感謝する。今後はコロナ等新興感染症だけではなく、自然発生的・人為的災害を含めた包括的な健康危機に対しての備えが必要であることは言を俟たない。コロナ以外の健康危機に対しても、平成29年に締結した「災害時医療業務協定」に基づき、平時における事態準備行動からの連携を期待する。
「尼崎市地域災害救急医療対策会議」自体はコロナ禍でストップしているが、全体会議ではない場での常日頃から緊密な、当会と行政間の情報交換の機会を設けることを希望する。
また、防災訓練について今年度は開催予定となっているが、訓練後には、当会とも共同して事案総括・検証を行い、今後の対策にフィードバックできる仕組み作りをお願いする。

3.予防接種について
はじめに新型コロナウイルス感染症パンデミックの収束の鍵が、ブースター接種を含むワクチン接種の迅速な実施と接種率であったことは周知の事実となった。
新型コロナワクチン以外のワクチンも安定供給を第一とし、接種者および被接種者・家族にとって安心・安全な体制づくりを引き続き要望する。その他各種感染症への関心が高まる中、予防接種に関する正確な知識と情報を市民に啓発していくために以下の項目を要望する。
(1)新型コロナウイルス感染症の流行蔓延により医療機関への受診抑制が継続されており定期予防接種も接種率の低下が見られる。引き続きワクチンは不要不急でないということを広報し健診等の機会を通じて接種遅れがあれば、定期接種を勧めるなど、積極的な勧奨をお願いする。また、定期接種が遅れた場合には、厚生労働省からの通知を今後も柔軟に運用し、接種漏れとならないよう対応をお願いする。
(2)一昨年から高齢者インフルエンザワクチン助成事業が10月1日から開始しているが、本年はインフルエンザの3年ぶりの流行が危惧されている。インフルエンザワクチン接種は高齢者を中心に例年以上に推奨されており、可能な限り早期に接種を開始し、新型コロナウイルスとの同時感染に対する不安感を払拭する必要があると考える。近隣市町との連携の上、可能であれば開始時期の前倒しを検討するよう要望する。
(3)子宮頸がん予防ワクチンは令和4年4月1日以降、積極的勧奨が再開されたが、接種率の向上が見られない。また、キャッチアップも開始されたが、接種率は低調である。キャッチアップ接種は3年間の期限があるので、より一層啓発事業をお願いする。
(4)風疹第5期定期接種について、期限が延長されたが新型コロナウイルス感染症の影響から受診率は低調であり、予防接種率の向上も含め積極的な広報活動を要望する。
(5)ムンプスワクチンおよび帯状疱疹ワクチンに関する医療費助成については、ムンプスワクチンは1歳からの2回接種が推奨されている。本来定期接種化されるべきワクチンであるが、それまでの間は任意予防接種費用の助成制度導入を要望する。また、平成28年に乾燥弱毒生水痘ワクチンが50歳以上の方に対する帯状疱疹の予防で接種可能となり、令和2年1月には乾燥組換え帯状疱疹ワクチンが使用可能となっている。今後の高齢者の健康維持推進および医療費の抑制等も図るため任意予防接種費用の助成を要望する。
(6)新型コロナウイルスを筆頭に輸入麻疹、デング熱等輸入感染症や新興感染症に関する情報を迅速に提供して頂くことを要望する。
(7)大規模災害時におけるワクチン備蓄およびすべてのワクチンを複数の事業者が取り扱えるように出来るワクチンの安定供給体制の確保などワクチン事業に関することを話し合うワクチン協議会も定期的に開催されることを要望する。
(8)新型コロナウイルスワクチンに関しては、既存のワクチン以外にも国産ワクチンも使用可能となっており、希望者に公平に分配されるような体制確保についても検討を要望する。また、接種期限間近のワクチンが流通していることから期限切れのワクチン接種を回避する注意喚起も要望する。

4.産婦人科対策について
産後うつの予防や新生児への虐待予防等を図る観点から、産後2週間、産後1ヶ月など出産後間もない時期の産婦に対する健康診査(母体の身体的機能の回復や授乳状況及び精神状態の把握等)の重要性が指摘されている。このため、厚生労働省からは、産婦健康診査の費用を助成することにより産後の初期段階における母子に対する支援を強化し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を整備するよう言われている。
産婦健康診査を実施するにあたり支援が必要と判断される産婦に対して産後ケア事業を実施することが必要だが、令和2年10月から尼崎市においても産後ケア事業を開始していただき、産婦人科医会も施設助産師が産婦を訪問し、援助している。しかし、産後ケアの実績数はまだ十分ではなく、さらなる充実のためには産後健診を通常の1か月健診だけでなく産後2週間・4週間に公費で行い、エジンバラ産後うつ評価をはじめ、細かなケアを行う必要がある。今こそ尼崎市には産後2週間・4週間の検診を公費で行う産後健康診査の補助を要望する。

5.新生児聴覚スクリーニング検査助成金について
わが国では、約20年前より全国的に新生児聴覚検査が行われるようになり、先天性聴覚障害の早期発見、0歳児からの療育支援体制が整備されてきた。兵庫県の現状を見ると受検率は約90%を超えており、尼崎市でも乳幼児保健委員会を通し情報をいただき、3か月健診でのデータ化による受検状況を把握いただいていること、令和2年度で未受診率3.8%不明率4.8%との情報を共有している。高い受検率ではあるが、子どもの言語発達、情緒社会性の発達への影響を考えると100%の受検率を目指すべきと考える。このため、本検査助成へのお願いを、令和2年度まで毎年のように当会から要望していた。
この検査は自費診療であるため、経済的な理由で検査を受けない選択をする保護者が一定数存在する。このため厚労省は市町村が検査費用の公費助成を行うよう平成19年から繰り返し通知の発出がある。
産婦人科学会からは、検査費用の助成の有無により、受検率に明らかな差があることが報告されている。
こうした状況により、兵庫県下でも県内41自治体のうち30自治体での検査費用の助成が行われるようになっている。また、昨年度より、厚労省からの新生児聴覚スクリーニング検査機器購入にあたっての医療機関への助成も始まっている状況で、兵庫県でも現在助成拡充に向け検討中とのことで、本検査の受検率及び精度確保に向け前に進んでいる状況である。ぜひ、尼崎市の子どもたちの未来にかかわることとして受け止めていただき、100%に近い子どもが本検査を受けられるように、検査費用の助成を要望する。
(資料:令和4年度 集合契約参加市町一覧)
「神戸市・姫路市・三田市(市民税非課税世帯のみ)・養父市・香美町は市町独自に医療機関と契約」

6.乳幼児保健について
就学前の発達課題のある子どもへの早期からの相談支援については、いくしあと幼稚園保育園との連携で相談支援体制を整えており、また就学後に継続して相談が可能になるように、インクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の在り方についても「あまっこ方針」を策定いただいていると認識をしている。
しかし、保健センターでの乳幼児健診前後からの、いくしあを含めた各社会資源であるあこや学園、たじかの園、かしのき学園、公立幼稚園の特設クラス、また保育園での加配措置等へのつながり方が見えづらいと感じている。
現在市内公立幼稚園には、発達課題のある幼児に対し特設クラスを設定しているが、公立幼稚園全体における特設希望者は増える一方という現状があり、集団生活になじめず私立幼稚園に入園を断られながら公立の特設にも入れず、児童発達支援事業所の福祉サービスでつなぐ例も散見される。また、特設クラスの位置づけが見えづらく、専門教育としての質の担保がなされているのかわからない現状かと考える。
(1)5歳児健診等医療が介入する必要性を検討するために、発達課題を持つ就学前の子どもたちへの支援体制について、あこや学園、たじかの園、かしのき学園、公立幼稚園の特設クラス、保育園での加配措置等に、どのタイミングでどのくらいの児が所属しているのかも含め、いくしあを絡めた支援体制の流れを示して頂きたい。
(2)公立幼稚園での特別支援教育の充実と、尼崎市における児童発達支援の流れを明確にし、各社会資源の機能分担ができるような体制づくりを要望する。
(3)上記のような現状を医療現場も含め共有するためにも、いくしあができる前にあった「就学前の発達に係る連絡協議会」のような協議会の立ち上げを要望する。

7.学校保健について
(1)学校健診会場の設営についての実態・意識調査
学校保健安全法により健康診断(健診)は必ず行われなくてはいけないと定められており、新型コロナ感染拡大防止のために児童生徒の学校生活が厳しく制限された時期でも注意を重ねながら行われてきた。
令和2年度から3年度にわたって要望していた、学校健診の会場での感染防御や児童生徒間のプライバシーの保持に配慮した設営のためのパーティション等必要物品の購入予算の確保について、整備がすすめられており対応に感謝する。しかしながら、入室待機から脱衣、着衣、退出までのスペースの確保や児童生徒の動線(ゾーニング)に配慮した会場設営がいまだに行われていない学校や、昨年度までなされていたのに今年度は行われていない学校等が一部あることが、学校医から報告されている。感染防御が引き続き重要であることに加え、最近では人権や安全確保の問題として健診時のプライバシーの保持を求める声が高まっており、健診の会場設営の現状、実態の確認および担当する教員の意識についての調査を行うことを要望する。
(2)保健教育に関する動画等の提供許可と視聴時間の確保について
昨年度の保健教育に関する動画等の提供許可および視聴時間の確保についての要望の受け入れに対して感謝する。
コロナ禍のため、性教育などの保健教育に関しての専門医派遣依頼件数が減り、今年度は少しずつ戻っているが以前に比べるといまだ少数である。
児童生徒に伝えることができていない保健情報を補うため、今後は動画の提供を具体化するべく校長会や学校現場の養護教諭への働きかけを進めているところだが、引き続き連絡強化に対しての助力を要望する。
(3)特別支援教育について
令和3年6月に公布、9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の制定により、「尼崎市医療的ケア実施体制ガイドライン」を作成されたことに対して感謝する。
今後も「尼崎市特別支援教育検討会議」の中の「医療的ケア検討部会」において、実際の運用に即して改定や協議を継続して行くことになり、当会としても連携体制を取れるように尽力を行っていく。
また、もう一つの柱である「インクルーシブ教育システム推進部会」の中で、尼崎市の特別支援教育について、今後も現状の把握とこれからの課題について協議がなされると思われる。コロナ禍で、子どもたちの発達の遅れが気になる場面が増え、通常校の特別支援学級や通級指導教室の役割がさらに大きなものになっている。特別支援教育を担う教員の養成と特別支援コーディネーターの機能強化など、人的資源の拡充は喫緊の課題である。
子どもたちがそれぞれの発達段階に応じた支援を受けられるよう個別の支援計画を策定し、個々の児童生徒が十分な教育支援を受けられる体制の整備を要望する。
また、就学後の支援体制の構築とは別に、幼児教育の重要性の観点から、尼崎市の公立幼稚園での特別支援教育の充実を要望する。

8.禁煙対策について
「尼崎市たばこ対策推進条例」の制定、市民フォーラム実施など、尼崎市のたばこ対策の進歩と努力には目を見張るものがあり、最大限の感謝をする。しかし、たばこによる全ての被害を考える当会としては、更なるたばこ対策の進歩を強く望むものである。
コロナ禍で事業所・飲食店等での換気対策が進み、受動喫煙にも良い影響が出ていると推察されるが、家庭や自動車車内では難しい部分もあると思われる。尼崎市たばこ対策宣言には、受動喫煙の防止について「他人にたばこの煙を吸わせないようにしましょう。」「未成年者や妊婦をたばこの煙から守りましょう。」と極めてソフトに書かれているが、受動喫煙の弊害は大きく、たばこの煙には喫煙者が直接吸い込む主流煙と火のついたたばこの先端から上がる副流煙があり、フィルターを通らない副流煙には喫煙者本人が吸う主流煙より高濃度の有害物質が含まれる。受動喫煙の機会が多い方は肺がん、心筋梗塞、脳卒中、乳幼児突然死症候群などのリスクが高くなり健康に悪影響が出る事は学問的に証明されており、その危険性を周知するための広報を徹底すべきである。また、歩きたばこ禁止(全市内時間制限なし)、受動喫煙対策、吸い殻のポイ捨て、タバコ対策はマナーではなくルールであり、これを徹底するため引き続き罰金過料などのついた路上喫煙禁止条例の制定を強く希望する。
また、以下のような加熱式タバコ・電子タバコについてのリスクも広報すべきである。加熱式タバコで禁煙ができるような宣伝がなされているが、リスクがないというのは嘘であり、リビングなどの屋内で使用すると呼出煙によって受動喫煙が生じる。電子タバコはリキッドの中にニコチンが入っていなくても、その他にホルムアルデヒドなどの有害物質が検出され、使用中の爆発事故も海外では数多く報告されている。また、米国では肺疾患等の健康被害症例(死亡事例含む)が出ており、厚生労働省のホームページ上で注意喚起がなされている。

9.がん検診について
がんは高齢化社会の進行に伴い罹患率・死亡率ともに増加している。これに対して検診による早期発見、早期治療が一番有効な対策である。しかし兵庫県疾病対策課の発表したデータによると尼崎市が大腸がん、子宮頚がん、乳がんの5歳刻みの検診無料クーポン券を配布していた時期でさえ尼崎市民の検診受診率は兵庫県下の全市町村中の最下位を争っていた。令和2年からは新型コロナウイルス感染症の流行が始まり度々緊急事態宣言や蔓延防止措置が行われ、市民は検診のための医療機関受診などもってのほかと言う風潮が強かったが、最近ではこの風潮も少し落ち着きつつある。しかし、その結果検診を受けない、自覚症状があっても医療機関を受診しない患者さんが増加し、発見されたがんは進行し治療に難渋する患者さんが増加している。
尼崎市の5歳刻みの検診無料クーポンが初回の1回のみとなっても元々低い検診受診率が低下しなかったことは幸いであるが、この事実は逆にお金をかけて検診の無料クーポンを発行しても受診率は向上しないとも考えられる。
尼崎市は検診クーポンを新たに追加する予算は厳しいが、お金をつぎ込んでも受診率の向上も考えられないとあっては、後は市民に対する啓発という方法が残るのみである。幸いなことに政府のがん対策基本法に基づく小中高等学校のがん教育の中で、まず児童生徒にがんに対する教育を行い、それを親の世代のがん検診につなげると言う方法が一番有効と考える。と言ってしまえば市長への要望としては終わりであるが、以下、3点を要望する。
(1)診療所に行くだけで検査が完了する大腸がん検診は、予約やかかりつけ診療所以外の場所を受診する必要がある他の検診よりも受診率が高い。そこで胸部レントゲン写真が中心の肺がん検診も大腸がん検診の特定健診や後期高齢者検診の様にオプションに組み入れることにより、肺がん検診受診率は向上すると考えられるが、昨年の回答でも検診以外の二重読影の施行がネックになっている。現在尼崎市の保健所検診では所外所内検診とも二重読影を行っているが、このシステムに載せていただければ解決するのではないかと考える。
(2)尼崎市の乳がん検診の受診率は胃がん検診や肺がん検診に比べ比較的受診率は高い。現在無料クーポンは40歳時に配布されるが、実は我が国の乳がんの有病率は45歳から49歳に1つのピークがあり、それとほぼ同数のピークが65歳から69歳にある。これに対し1回のみの無料クーポンであれば、後の発生ピークに対し無力である。そこで60歳時にもクーポンを発券していただきたい。
(3)がん検診の無料クーポンは通常6月末に発送されているが、この発送時期を生活保護受給者と同じように3月末とし、特定健診の受診券と合わせて、同時期に利用できるようにするため、この時期に発送することをお願いしたい。

10.尼崎市行政サービスのスマート化について
昨年度、「行政サービススマート化(ペーパーレス化、ウェブ会議運用規定の整備)について、一般市民が容易に理解できる具体的タイムスケジュールの明確化」を要望したが、「今後、分かり易い形でお示しできるよう努めていきたいと考えています。」との回答であった。
上記回答を踏まえ、その後、どのような進展があったのか、回答を要望する。

11.コロナ禍でのスポーツ活動再開と市民の健康回復への取り組みについて
新型コロナウイルスも次から次へと変異株が現れはしたものの、ワクチン接種や基本的予防行動の徹底で感染者数も重症化率も減少傾向が見られる。
一方で、この2年間は多くの国民が運動習慣を放棄せざるを得ない事態になっており、サルコペニア、ロコモ症候群、フレイル状態となっている人が増えている。国は社会経済活動を徐々に再開しようとしているが、これまでのマスク着用の啓発が徹底しすぎて、市民はマスク装着を遵守したため、初夏を迎え熱中症が頻発している。ついには6月3日に尼崎市においても立花中学校で「熱中症」の22人が救急搬送される事態になり全国ニュースでも取り上げられた。安全・安心のスポーツ活動を目標としている当会として以下の点について配慮・努力いただきたい。
(1)体力回復のための運動教室を数多く計画し、市民への案内・広報・啓発を実施していただきたい。
(2)学校現場では児童・生徒への急なクラブ活動や体育での運動量の増加は熱中症発症のハイリスク状態である。指導者達に脱マスク・脱水予防など、コロナ禍での安全管理指導ガイドラインを示して徹底していただきたい。
(3)臨床現場ではスポーツの再開とともに、児童生徒のスポーツ外傷、障害が増加する事が危惧される。今般、市の努力にて無償化が実現したことは喜ばしいが、今後とも躊躇なく医療機関に受診できるように、無償化のための予算を確保して継続していただきたい。
以上