かかりつけ医について(連載2) (第615号令和3年3月1日)

かかりつけ医について(連載2)

 

地域包括ケア・勤務医委員会 理事 夏秋  恵

 

内藤先生よりのバトンを受けて、今号では、日本医師会の考える「かかりつけ医」「かかりつけ医機能」(日医HPより抜粋)を中心にお話してみたいと思います。
「かかりつけ医」には、病気の治療のみならず、国民の疾病予防や健康管理を支える役割を担い、超高齢社会における地域包括ケアシステム【住まい、医療、介護、予防、生活支援が、日常生活の場で一体的に提供できる地域での体制】の中心的な役割を担うことが求められています。2013年8月8日、日本医師会・四病院団体協議会は、こうした背景を踏まえ、患者・国民の健康に、生涯にわたって幅広く対応していくことを目指して、「かかりつけ医」の養成、「かかりつけ医機能」の充実に努めることとしました。
「かかりつけ医」は、以下の定義を理解し、「かかりつけ医機能」の向上に努めている医師であって、病院の医師か、診療所の医師か、あるいはどの診療科かを問うものではありません。そして、かかりつけ医は、患者のもっとも身近で頼りになる医師として、自ら積極的にその機能を果たしていくものです。

 

「かかりつけ医」とは(定義)

なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。

 

「かかりつけ医機能」
●かかりつけ医は、日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、適切な診療及び保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する。

 

●かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する。

 

●かかりつけ医は、日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。

 

●患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行う。
2000年に介護保険法が施行され、介護支援専門員(ケアマネージャー)が誕生し、主治医は主治医意見書を記載することになりました。また、2005年から地域包括支援センターが設置され、2014年の「医療介護総合確保推進法」に基づき、地域包括ケアシステムが構築されつつあります。「介護支援専門員」「介護保険主治医意見書」「地域包括支援センター」「地域包括ケアシステム」「多職種連携」・・これらは、すべて現在の医師国家試験出題基準に含まれており、大学医学部では関連する授業が行われています。
今まで患者とだけと向き合って治療をしていればよかった医師が、地域包括ケアシステムを理解し多職種と上手に連携していかなければ、患者にとってのよりよい「かかりつけ医」にはなれません。日本医師会は、地域住民から信頼される「かかりつけ医」のあるべき姿を評価し、その能力を維持・向上するための新たな研修制度として、2016年より「日医かかりつけ医機能研修制度」をスタートさせました。3年間で基本研修、応用研修、実地研修を習得し要件を満たした場合には認定書が発行されます(3年ごとに更新する必要があり)。2019年度末で尼崎市内35名の先生がこれを取得されています。一人でも多くの先生にこの「かかりつけ医認定書」を取得していただきたいと思います。

 

今後は、我々医師だけではなく、多職種に「かかりつけ医」「かかりつけ医機能」を理解してもらうことが重要だと思います。信頼関係を築いている患者とかかりつけ医の間を、多職種の間違った考えで壊されては患者のためになりません。

そこで、次号以降は、ほかの職種が「かかりつけ医」をどのように思っているのか、また「かかりつけ医」との関係は等々、「かかりつけ医」に対する相互理解をすすめていけるような連載を地域包括ケア・勤務医委員会のメンバーが順次掲載していく予定です。
この連載に関してのご意見等ございましたら、地域包括ケア・勤務医委員会までご連絡下さい。