新型コロナワクチン接種に関して今わかっていること (第615号令和3年3月1日)

新型コロナワクチン接種に関して今わかっていること

 
新型コロナウイルス感染症等特別委員会委員長 勝谷 友宏

 

Saloonでも新型コロナワクチンに関する様々な話題提供をいただいております。本原稿を書いている時点でわかっていることは、医療従事者等向け接種が開始になり、4月以降に高齢者(昭和32年4月1日以前に出生)、高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、それ以外の方、の順番で接種されるということ、医療従事者向け(一般開業医関連)の接種は基本的に若王寺の看護専門学校において集団接種で行う予定であること、3月6日にハーティで説明会を実施することです。我々医療従事者は、ファイザー・ビオンテック社製のmRNAワクチン「コミナティ筋注」を使用することになりますが、非常にデリケートなワクチンのため、基本型接種施設(尼崎ではAGMC、関西労災病院、はくほう会セントラル病院、尼崎市の4箇所)にマイナス80℃の超低温冷凍庫へ輸送され、そこから連携型接種病院(病院関係者は各病院内で接種)に小分けで輸送され、看護専門学校は連携型施設の一つとなる休日夜間急病診療所の外部施設としての位置付けとして運用されます。
今回の接種は、確定名簿として提出された方のみに限定されますので、今回手上げを躊躇った従業員の方々は、今後の枠組みの中での接種を受けていただく形になります。コミナティの入荷はEUの承認を毎回受けなければならず、輸入数が読めないことが計画を立てる最大の障壁となっており、毎週何度も委員会を開き、計画の練り直しを行っております。高齢者以後のワクチン接種については、尼崎市が保健福祉センターや生涯学習プラザなどで実施する集団接種だけでは規定人数に接種することは難しいため、先生方の医療機関における個別接種をお願いする予定です。
具体的にはV-SYSというシステムに登録していただき、国→都道府県→市町村→医療機関の順に、ワクチンの分配量、割り当てが行われる仕組みとなります。
例えばファイザーのコミナティの詳細な情報を入手する際にも、V-SYSに登録されていないと、医療機関名が検索(入力)できないようになっており、要は国とファイザーがワクチンの割り当て、分配を公平に行うシステムをこのV-SYSで行う一方で、医療機関側からの種々の情報収集も行うことを考えているようです。先日、厚生労働省の説明会に参加してきましたが、最初の登録は少し煩雑ですが、2回目からはそれほど難しくない印象でした。
さて、一方でmRNAワクチンという新しいタイプのワクチンで筋肉注射ということで接種に二の足を踏んでおられる方も多いことと拝察致します。岡﨑理事より提供いただいた米国と日本の小児科専門医をお持ちの紙谷聡先生の情報によりますと、皮下注射よりも筋肉注射の方が、血流が豊富で免疫の活性化が起きやすく、局所の反応が起きた際の痛みなども皮下よりも痛みを感じる神経の少ない筋肉の方が鈍痛で済むという利点があるようです。
また、mRNAという原材料を提供し、組み立ては自分の体内で行うことから、異物の蛋白を注射する古典的ワクチンよりも安全という考え方もあります。接種部位の筋肉痛、だるさ、頭痛などはかなり高率に起こるようですが、カロナール等の服用で対応可能で、数日内に治まるケースが殆どで、アナフィラキシーもPEGやポリソルベートなどPEG誘導体にアレルギーのある人を除けば、殆ど心配しなくてよいレベルで、現在の接種体制をきちんと保持すれば命に関わることは無いといってもよいのではないでしょうか。既に4割が接種を済ませたイスラエルのデータも出揃ってきていますので、正確な報道をご覧いただき客観的な判断をいただくことが肝要かと考えます。
それよりも、尼崎市の住民に万遍なく接種を行うためには、医師会会員の先生方の総力を挙げたご協力が必須となりますので、この国難と言うべきコロナ禍を乗り切るためにも、一層のご協力をお願いする次第です。