令和2年度 兵庫県・阪神地域合同防災訓練(第610号令和2年10月1日)

令和2年度 兵庫県・阪神地域合同防災訓練

大島地区・参与 兵庫県医師会副会長 鈴木 克司

兵庫県と阪神北・南7 市1 町が主催する本年度の標記合同防災訓練は9 月20日午前10時より関係団体・一般市民見学者約700名の参加により尼崎市をメイン会場として開催され、国会・県会・市会議員や関係団体から多くの来賓も出席する中、筆者も空地顕一会長の代理として出席しました。新型コロナウイルス感染症感染防止のため一般市民の参加者は限定し、入り口での体温・体調のチェックが行われた中での開催です。当日はメイン会場の尼崎市立中央中学校・三田市立母子(もうし)小学校・西宮市の阪神南広域防災拠点・三木市の兵庫県広域防災センターの4か所で同時に訓練が行われ、他会場の様子もメイン会場に設置された大型モニターに時折映し出されたほか、メイン会場にもドローンを飛ばして上空からの訓練風景も供覧されていました。

同日午前10時に紀伊半島沖の海底を震源とするマグニチュード9.1の海溝型地震が発生し瀬戸内海沿岸に大津波警報が発表され、尼崎市は震度6強の地震により各所で火災が発生、家屋倒壊等による負傷者・避難者が続出するという想定で開始されました。まず道路警戒訓練から開始され県警により緊急交通路を指定し交通整理・誘導が行われ、建設業協会加盟企業らの協力による瓦礫撤去訓練・JAFらの協力による車両移動訓練・NTTの協力による衛星通信システム臨時開設訓練などが披露されました。

JMAT医療関係者は体育館に設置された避難所での避難者受け入れに関する訓練を行っており、本年は新型コロナウイルス感染症が発生しているため入口で避難者の体温チェックと体調確認が行われ発熱等体調に問題がある人とそうでない人の避難場所を分離し、新型コロナウイルス感染が疑われる人は仮設テントに収容するようになっていました。避難所に関わるJMAT兵庫は4 チームが編成、合同指揮所にも1チームが編制され、医師・看護師・薬剤師・ロジスティックス(事務担当者)で構成される3 チームには兵庫県医師会・尼崎市医師会・兵庫県看護協会・兵庫県薬剤師会から人員を派遣、兵庫県医師会から杉町正光常任理事・杉原加寿子常任理事(尼崎市医師会副会長)・小平博救急災害医療委員会委員長・江口義光事務局員が、尼崎市医師会から八田昌樹会長・朝田真司副会長・森茂樹理事・新藤高士理事、吉田和久理事が参加しました。また兵庫県歯科医師会からJMAT歯科チームも1チーム編制され、さらに合計10名の医師・理学療法士・言語聴覚士からなるリハビリテーション関係者の参加協力も得ています。井戸敏三兵庫県知事も模擬避難所を視察しいろいろ質問をされているようでした。

訓練の最大の見せ場は倒壊家屋からの被災者の救出・搬送訓練で県警・自衛隊のチームが倒壊家屋を電動工具で開放し中へはいって生存者・死者を運び出しDMATチームと連携して搬送にあたり、指揮命令系統が明確でいつもながらテキパキと行動される様は見学者に強く印象付けられたものと思われます。約1時間50分の訓練を終え11時50分から閉会式となり井戸知事による謝辞と講評が述べられ閉会となりました。大規模災害発生時にはDMAT・JMATをはじめとした救護スタッフは迅速な行動が期待されますが、ここに新型コロナウイルス感染症という新たな状況が発生した現在、避難者・救護にあたる人双方の安全確保が課題になってゆくでしょうから、今後も関係団体全体で密な情報交換と検討を続ける必要があると思われました。最後に尼崎市医師会をはじめとする開催地で参加されたJMAT構成団体の方々の労をねぎらいたいと思います。