第12回尼崎市民医療フォーラム満員御礼(第587号平成30年11月1日)
2018/12/07(金)
第12回
市民医療フォーラム満員御礼
10・20
医政委員会委員長 矢野 雄飛
第12回尼崎市民医療フォーラムが平成30年10月20日(土)にあましんアルカイックホール・オクトにて開催されましたので報告させていただきます。今年度は『100歳時代の生き方、死に方 〜バラ色の人生〜』という刺激的なテーマで、過去最高の632名もの市民の方々でホールはほぼ満員となり、非常に盛況なフォーラムとなりました。まず開会に際して東会長の開会挨拶、森山副市長より来賓挨拶をいただきました。そして、はじめに昨年に引き続き落語家の桂歌之助さんより落語を披露いただきました。落語の中では、100歳時代というフォーラムのキーワードにあわせて、89歳で亡くなられた桂米朝師匠のお話の他、恒例の尼崎のおばちゃんのお話で会場は大いに沸き良い雰囲気になったところで、第一部の講演の始まりとなりました。本年は講師に医師で作家の久坂部洋氏をお迎えいたしました。久坂部氏は医師としての肩書と共に、作家として最近では「無痛」・「破裂」といった作品がテレビドラマ化もされるなど大変活躍をされておられる方です。講演は「人は何歳で死ぬのがベストか」と題して行われました。久坂部氏は何歳がベストな死に時かは心の問題とし、40歳代で満足して死を迎える人がいる一方で、80歳代で自らの死が受け入れられない人、100歳が近づき逆に長く生きたことを悲観する人がいることを例に上げられました。そしてベストな死を迎えるには、多くのもの、より良い環境を求め過剰な人生への期待から逆に自分の人生を不幸せにしてしまうのではなく、自ら期待値を下げ、あるがままに感謝し満足を得ることができるように心を整えることが大切であると話されました。久坂部さんの講演は大変興味深く、参加されていた市民の方々はじめ私も、云々と頷き聞き入りながら、人生に対する考え方を転換するヒントを頂いたように思います。
続いての第2部ではコメンテーター:勝谷誠彦氏 シンポジスト:中野洋昌氏(衆議院議員)、久坂部洋氏(作家・医師)、福田秀志氏(尼崎小田高校主幹教諭)、藤原久義(兵庫県参与ひょうご人生100年時代プロジェクト推進担当)、吉田純一氏(尼崎中央病院理事長)を迎え『100歳時代の生き方、死に方 〜バラ色の人生〜』をテーマに意見交換が行われました。コメンテーターの勝谷さんは、第1回の医療フォーラムからすべてに出席いただき、毎回勝谷さんの忌憚のないお話を楽しみにされている方も多くフォーラムには欠かせない存在となっています。しかし今回は体調を崩され参加が危ぶまれておりました。それにも関わらずフォーラムに合わせて病院を退院し車椅子で登壇いただきました。会場からは温かい拍手が贈られるとともに、関係者一同大変感謝をいたしました。さてシンポジウムでは山本学理事、中川純一理事による司会進行の元、「ずばりあなたは何歳で死にたいですか?」「終末期医療アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について」「バラ色の人生の生き方」などについて意見交換が行われました。最初の「何歳で死にたいか?」という問いについては、皆一同明確には答えづらい問いでしたが、久坂部氏は質問には答えたくないとし、先の心配、希望を考えすぎると、現実をみないので今を大切に生きることが大切であると述べました。
2つ目のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)は「将来の医療及びケアについて、患者さんを主体に、そのご家族や近しい人、医療・ケアチームが、繰り返し話し合いを行い、患者さんの意思決定を支援するプロセス」であり今年度から厚生労働省や日本医師会のガイドライン等の中で取り上げられるようになった用語です。福田氏はACPについて元気なうちから話し合っておく必要があると見解を示し、続いて吉田氏は元気な間に終末期の話をどの程度まで行うかは難しい問題もあることや、ACPの考え方は以前からあるがACPという用語自体は市民や医療関係者にも十分に認知されていないと述べられました。そこで、藤原氏はACPに関連するガイドラインの紹介を行い、兵庫県での地域の看取り医療計画や在宅看取りのモデルについての説明をされました。
3つ目の「バラ色の人生の生き方」についての話題の中では、中野氏が行政の立場から、元気に生活できる社会をつくり、少子高齢社会において高齢者が元気に過ごせるようにする仕組み作りについて話をされました。久坂部氏は、感謝力・満足力をもって「足るを知る」ことがバラ色の人生をおくることに必要だと述べられ、そして最後に勝谷氏は、チベット旅行記の話や知事選挙・自身の病気の話を交え、結果的に「そうきたか!あ〜愉快だ」と思える人生を送ることが大切だと締めくくり第2部のシンポジウムは終了しました。八田副会長の挨拶の後、計632名の参加で満席となった会場からは大きな拍手が起こりフォーラムは閉会となりました。第12回の市民医療フォーラムは参加された市民の方々だけでなく、私たち医療者にとっても大変充実した聞きごたえのある内容でした。来年度も多くの市民の方々と、会員の皆様の参加を是非お待ちしております。