認知症あまつなぎフォーラムが開催されました!(第579号 平成30年3月1日)

認知症あまつなぎフォーラムが開催されました!
~ 認知症になっても、住み慣れた我が家で、いつまでも暮らすために ~
1・27
尼崎市医師会 地域包括ケア担当理事 齋田  宏

去る1月27日土曜日に、尼崎市医師会と多職種団体による市民を対象とした「認知症あまつなぎフォーラム」が、ライクスホール(尼崎市塚口町1‒15‒8 いかりビル4階)にて開催されました。
小雪がちらつく寒い日であったにもかかわらず、一般市民84名、医師29名、医師を除く多職種103名、総参加者216名という多くの方に集まっていただき、ホールはほぼ満席状態でした。
今回のフォーラムのテーマは『認知症になっても、住み慣れた我が家で、いつまでも暮らすために』ですが、その企画においては、大きな2つのコンセプトをもって検討しました。一つは、尼崎市医師会と多職種団体が協働して尼崎市民への啓発にあたること、二つ目は、専門職からの上から目線の講演ではなく、市民目線に立ち市民参加型の学びの場とすることでした。
開会の辞では、尼崎市医師会 黒田佳治会長から、認知症患者さんの生活を地域みんなで支援する当会の取り組みと、今回新しく設立された尼崎市医療・介護連携支援センター〝あまつなぎ〟を紹介しました。
また、尼崎市役所 稲村和美市長からは来賓祝辞の挨拶をいただきましたが、認知症になっても住み慣れた我が家で、いつまでも暮らしていくことができるように、これからも市民への支えになっていきたいことを述べられるとともに、地域にて疾病予防・再発予防・自立支援への強化も併せて取り込みたいことを行政として力説されました。
フォーラム前半では、夏秋 恵医師(夏秋医院)の進行で、次の4つの認知症関連話題を提供しました。市民が気になるのは、認知症ってどんな病気か?また、早期発見の手立ては?そして、医師会や行政としての認知症への取り組みです。その辺りを、まずは、齋田 宏医師(あまつなぎ 副センター長)からは、「多職種連携による市内で一体化した医療介護支援をめざして」と言う話題で、〝あまつなぎ〟開設経緯と役割業務を説明。次に、栢原尚之医師(かやはらクリニック)から「認知症を早期に気づくため!~ちょっと気になるその振る舞い~」と言うタイトルにて市民へ啓発したのち、尼崎市役所 包括支援担当の寺沢元芳課長には、この2月末に発行予定の『尼崎市在宅医療ハンドブック』をもとに「尼崎市における認知症への取り組み」を述べてもらいました。
また、去年の「改正道路交通法」では、75歳以上のドライバーは運転免許更新時に認知機能検査が義務化されましたが、朝田真司医師(朝田医院内科・循環器科)が、その辺りを分かり易く自主返納の特典も含め解説されました。
後半の部では、会場参加者を巻き込んだ、いわゆる、視聴者参加型企画として、参加型体操とアンサーパッドを利用した多職種座談会を取り入れてみました。
体操コーナーでは、岩成寛明作業療法士(はらクリニック)から、手足・指を使ったお家でもできる認知症予防体操、『指体操で1、2、3!』や『1人でジャンケンポイ!』などを会場参加者へ伝授。左右の手足・指の動きを時間的にずらして動かす運動ですが、これが難しい(小生にとっては)。「出来る・出来ない」が問題ではなく、脳へ刺激を与えることが認知症予防になるとか‥。いずれにしても、岩成作業療法士の巧みな笑いをとる話術とホール参加者自らのちぐはぐな運動が、短いながらも楽しい時間を作り出しました。
体操にて会場が和んだところで、合志病院 内藤武夫医師と薬剤師会 牧孝子会長を座長とする多職種のパネリストを招いた多職種討論会が引き続きおこなわれました。
今回は通常のパネリストからの発表に代わり、『お医者さんに認知症と言われたら・・』をメインテーマとし、アンサーパッドを用いて司会者から会場参加者へ質問を順に投げかけ、会場からの回答集計をふまえながら討論をおこないました。

【質問】
① 身内にて介護をしたことがありますか?
② 認知症の方にどのように接したらよいですか?
③ 認知症だと言われたら誰に相談する?
④ 認知症だと言われてもお家で住み続けたいですか?
⑤ 認知症と生活習慣関連病は関係あるとご存知ですか?

討論の中では、「認知症を重篤な病気ととらえずその人の人格を尊重しながら、認知症になっても我々医療・介護チームが、多職種連携して皆さんのお家での生活を支えます。」と言うメッセージをお伝えさせてもらいました。また、市民の皆さん自身も、日頃より、認知症への早期発見、認知症予防、認知症関連疾病、かかりつけ医への相談などに関心を持ってもらうことが何よりも大切であることを知っていただきました。
最後の挨拶では、齋田理事から、市民が安心して最期まで暮らせる環境づくりを目指して、認知症を含むあらゆる医療介護において、いつも市民(患者)の方が中心であり、そのバックには医師会・行政のほか多くの多職種団体がサポートしていくことを約束して閉会となりました。
会場からの大きな拍手と「楽しかった!」「良かったゾ~!」と言う声援は、我々フォーラム企画者への次への支援の糧になったかと思われます。
(主催:尼崎市医師会、尼崎市医療・介護連携支援センター〝あまつなぎ〟、後援:尼崎市、尼崎市歯科医師会、尼崎市薬剤師会、尼崎市ケアマネジャー協会、尼崎居宅介護支援事業連絡会、兵庫県訪問看護ステーション連絡協議会阪神南ブロック)