第2回尼崎市適塩化(減塩)フォーラム・第14回ヘルスアップ尼崎戦略フォーラムを振りかえる (第571号 平成29年7月1日)

ヘルスアップ尼崎・適塩化実行委員会委員長 勝谷 友宏

1週間前の雨の予報が嘘のような五月晴れの下、「あなたのカラダにいいことデイ」と銘打った第2回尼崎市適塩化(減塩)フォーラムが、都ホテルニューアルカイックで開催された。1年前の5月8日に1回目を開催したところ2000名もの市民の参加があったので気を良くした市の要望もあり、今年も是非!との依頼を気楽に受けたのが運の尽き、昨年以上の苦労をしながら寄付や協賛のお願いに駆けずり回る羽目となった。昨年との違いは、ヘルスアップ尼崎・適塩化実行委員会という本フォーラム準備のための仕組みに、医師会、歯科医師会、薬剤師会の三師会、県栄養士会、看護協会、商工会議所、協会けんぽ、園田学園女子大学の各団体に加わっていただいたことで、役割分担が見事に功を奏し、無事に開催に漕ぎつけることができた。また兵庫県立尼崎総合医療センター(AGMC)の藤原久義院長のリーダーシップ、循環器内科の佐藤幸人先生のご助力により、AGMCより多数の医師とコメディカルの皆さんに、健康・適塩・健康相談にマンパワーでもご協力いただけたことは特筆すべきことであった。しかし最後は医師会の先生方、特に内科医会や地区の先生方のご厚意がなければ、会の運営や収支の帳尻を合わせることが難しかったことから、この場を借りて厚く御礼申し上げます。おかげさまで、今年も約2000名の市民に来場いただけました!
さて、今回のイベントのメインテーマは『健康づくりは「減らすこと」と「増やすこと」』。午前中は、健康なまちづくり、健康経営を中心とした講演、シンポジウムが行われた。トップバッターは、日本航空㈱会長の大西賢氏、一度経営破綻したJALをホワイト企業にまで昇華した立役者でもある。目標の4つの柱を「安全な運航」「最高のサービス提供」「豊かな人生」「働きがい」とすることにより、飛行機の安全運航から働く社員の健康までが、顧客に対する最高のサービスにつながるスキームを描いた形だ。自らホノルルマラソン(JAL主催)を完走する映像で講演を締めくくった。続いて登場したのは、昨年もご登壇いただいた経済産業省・ヘルスケア産業課長の江崎禎英氏、これからの日本を占うキーパーソンとして全国各地で引っ張りだこの論客だ。「生涯現役を目指した国の健康・産業戦略」と題した講演のポイントは、退職後の生活。高齢者の増加で支える現役時代が疲弊しないためには、寝たきりになるその日まで、働ける範囲で働く、社会に貢献できる仕組みをつくるべきと力説した。そのためには、健康寿命を延ばすための様々な手を早めにうつことであり、このような配慮を積極的に行う企業を「健康銘柄」として経済産業省が選定、公表することを実施したところ、企業の応募が殺到していることを紹介した。もちろん、先ほどのJALや、後半の座長を務めた鈴木清晃氏が顧問を務める㈱ローソンも健康銘柄2017に選ばれている。
この魅力的な2題のご講演の後、シンポジウム「まちの健康経営を考える」が野口緑・大阪大学招聘教授と鈴木清晃氏のお二人を座長として開催された。まず尼崎の現状を稲村和美市長が「ヘルスアップ尼崎戦略~まちの健康経営推進へ」として紹介、続いて中村昇・尼崎商工会議所専務理事から、尼崎の大部分を占める中小企業の現状と商工会議所の取り組みが示され、最後に我らが医師会、黒田佳治会長が、医師会員が市民の様々なところで健康を支えていること、特に産業保健センターが中小企業の社員の健康管理に役立っていること、市民の健康や医療を考える多彩なフォーラムを開催していることなどをわかりやすく説明された。
講演会場の隣の3階のスペースには、12の企業のブースが並び、朝早くから行列ができる盛況ぶりであった。園田学園女子大学の食育SATシステムを使った自分の食べている食品サンプルをトレイに乗せて機械にかけるだけで瞬時に栄養のバランスや問題点がわかるものや、尼崎市薬剤師会による血圧やCO濃度測定、お薬相談には「はばタン」も登場、牧孝子会長とツーショットで愛想を振りまいていた。今年は味の素㈱、丸紅食料㈱などの食品メーカーも初出展し、減塩食品の展示、試食が好評のため「昼食食べる時間もない」と出展者がぼやく盛況ぶりであった。さらに、メイドin尼崎の「尼藷のつるの炊いたん」の試食・販売も実施された。
講演・展示会場前のロビーでは、尼崎市医師会の有志の先生方9名(内科医会、医政委員会からの多数ご参加有難うございます)に関西ろうさい病院・糖尿病内分泌内科の山本恒彦部長も加わった10名の先生方による医療相談、AGMCの医師による医療相談、薬剤部・栄養部・リハビリ部・看護部による専門相談、兵庫県栄養士会・関西ろうさい病院管理栄養士・尼崎市保健師による栄養相談、兵庫県看護協会による介護・認知症相談も朝の10時から夕方の16時半まで実施され、多くの市民より「日頃の疑問や健康への不安について、専門家の意見を直接伺うことができ大変良かった」との声が寄せられた。
このほかにも、午後の講演、特別講演、健康屋台、映画上映、健診と盛りだくさんな内容であったが、残念ながら紙面が尽きたので、この続きは「内科医会通信」へ「その2」の掲載ということで乞うご期待!