むこねっと通信11(第544号 平成27年4月1日)

(第544号 平成27年4月1日)
尼崎市医師会副会長 東 文造

宝塚市医師会のメーリングリストでの最近の会話です。
むこねっと通信に投稿したいと思います。(各人投稿許可は得ています。)

宝塚市医師会メーリングリストでの会話
<梅村仁>
 こんにちは
 88歳の患者さんが2013年にH医大に入院して喉頭狭窄の手術をうけた、と言います。
 その時の状況が知りたければ以前なら患者さんに画像を貸し出しに行ってもらうか、紹介状をもらいに行ってもらうか、等が必要でした。
 むこねっとを思い出し、H医大にデータ開示を要求しましたら事務レベルで公開してくれました。
 CT、血液検査などです。公開項目は病院により違っていて、どの病院もサマリーも含めカルテ、病名の公開はしてません。
 CTはadobe flash playerの最新版で画像は見れました。
 今後どんなケースで役立つか? おもしろそう。
 ただ、診断名、画像の所見などは非公開で、担当医の紹介状に取って代わるものではなさそうです。

<金川清人>
梅村先生、むこねっとのCMありがとうございます。
むこねっとはCTや検査所見だけでなく、原則として投薬、主治医のカルテ記載、病名、退院時総括など電子カルテの内容を見ることができます。
兵庫医大は公開していない項目があるのかな?確認してみます。
払うお金に見合う情報が望まれますね。
年会費等は今後の議論があるようですが、現在の所入会金5万円、月に2,000円(年24,000円)です。
4月以降も入会金の免除や月会費の免除がしばらくあるようです。
宝塚市立病院の開示は3月末のようですが、開示項目などもまだはっきりしていないようです。

<梅村仁>
カルテ公開は推奨項目になってるもののほとんどの病院は非公開です。
気持ちはわかりますが、入会金、年会費徴収されるには、それに見合う情報を提供していただきたくなります。
せめて入院時サマリー、術式ぐらい公開してもらえないかなー?
ちょうど医師会の配り物に3.19(木)午後2時より宝塚市立病院でむこねっと運用講習会があります。

<明渡寛>
確かにその辺の問題は、IT化ワーキング委員会でも検討はしたのですが、各病院の判断に任せるということになっています。
ちなみに情報提供側の病院には、ベッド数に合わせて、我々診療所よりも多額の入会金、年会費を払っていただくことになっております。
お互いいろいろ希望はあると思いますが、現在のところはおっしゃるような現状で、今後運用状況により、いろいろ発展または縮小があるかと思います。

<金川清人>
私もIT委員会で何を開示するかを議論していました。
しかし実際はこんなお粗末な状況になっているとは知りませんでした。
最初の話では、「CT,MRIなどの画像データ、入院中の患者サマリー、処方、注射、検査結果、電子カルテのPDF,各種文書も共有し、開業医と主治医とのメッセージ機能もあり、診療予約や検査予約もできます」でした。
今後むこねっとは介護の分野でも利用して貰うのだと上層部は言っています。
(介護に関連しないと予算が出ませんから。)
しかし、病名も無い、主治医の所見も無い、退院時サマリーも無いこのネットをどんな看護師さん、ケアマネージャーがお金を払って見てくれるのでしょうか?CTを見るのが目的ですか?
CTの所見は書いてないのですよ。

副会長所感並びにむこねっと通信最終号
〝患者情報共有システム〟に関するアンケート調査結果について
尼崎市医師会副会長 東  文造
h-Anshinむこねっとは阪神南圏域6市1町で行われており、2次救急システムではかなりの成果を上げ、新聞などでも取り上げてもらっています。一方〝患者情報共有システム〟に参照型で参加されいている一般医療機関は102施設/全施設数1474施設(平成27年2月13日時点)に留まり、1割に満たない状況です。むこねっとの現状を知るべく、平成27年1月に〝患者情報共有システム〟に関するアンケート調査を行いました(参照:アンケート内容)。その結果は参照アンケート結果にお示しします。
アンケートの回答が平均で20・2%でした。アンケートに回答された298名をみるとむこねっとを知っていて導入済みまたは希望が104名、(回答者の約1/3)、詳しくは知らないので検討中が約93名、(回答者の約1/3)、詳しく知らないので、導入予定なしが87名(回答者の約1/3)でした。
アンケート結果と各欄におけるご意見をみて、私が思う一般的なイメージ像としては、〝大多数の診療所は、近隣の病院との間で病診連携を行っており、現状の方法(電話、FAX)であまり困ってはいない。そのために、新たな〝むこねっと〟という手段を使って病診連携を取る必要を感じていない。するにしても、難しそうだし費用対効果を感じていない。〟といったところでしょうか。
アンケート項目での各欄で記載されたご意見は合計177件ありましたが、このご意見全てを紙面の都合上掲載しませんが、もしご希望があれば、むこねっと事務局にお問い合わせ頂ければ提供いたします。
177件のご意見の中で、導入されていない方で少し誤解されている先生が結構おられると感じました。〝患者情報共有システム〟で参照するのに、自院での電子カルテは必要なく、一般的なインターネット環境があれば参加し閲覧できます。また、iPadやMacOS10.10.2ヨセミテでも利用可能です。もう一度繰り返しますが、一般的なネットでブラウジング出来る環境なら参加し閲覧できます。但しMacでは、ほんの一部機能制限があるのは間違いなく、将来的には解決して頂く予定になってます。
導入された方での良い点悪い点のご意見71件中で一番多いご意見が、〝導入したばかりでまだ使っていない、評価できていない〟が19件でした。まだ各地の情報開示病院が少なかったこともあるかと思います。情報開示病院の現状については後述します。
良かった点での模範的回答では、〝患者さんの検査データや画像がほぼリアルタイムで分かる、インターネットができる環境であればどこでもむこねっとに繋ぐ事ができる〟というのがありました。(断っておきますが、私の回答ではありません)導入された方で良い点として指摘された点で私が同感するのは、紹介患者さんの紹介先の病院の検査項目、結果がわかること。例えば不明熱などで紹介した患者さんの検査項目から、紹介先の先生が何を疑っているのかが分かる点です。本当に参考になり勉強にもなります。
導入された方で悪い点として指摘された点で同感するのは、ダブルクリックが遅い(レスポンスが悪いこと)です。これは今後ベンダーに依頼して処理速度を上げるようこれからも要望していきます。
また、〝必ずしもリアルタイムではない〟というご意見もありました。これについては、情報開示は地域医療室で対応しており、そのためのタイムラグが必ずあり、完全なリアルタイムではないことはご理解頂きたいと思います。(例:検査依頼先でMRIを行った後、患者さんがその足でCDを持ってすぐに受診された場合、その時点ではネットで開示されていないし、読影結果は数日後アップされることになる)
また、内視鏡やエコー図を開示するか否か(情報公開内容)は各病院でばらつきがあり、その点は今後の検討課題かと思います。
また〝むこねっとの説明と同意書作成に手間がかかる〟というご意見がありましたが、個人情報を扱う点で患者さんの同意は必須となる事をご理解頂きたいと思います。
また、セキュリティの問題で2ヶ月に一度パスワード変更しなくてはいけないので、場合によっては〝患者の前でパスワード変更しないといけない場合がある〟とご意見頂きましたが、これは日頃小まめにアクセスしておけば、そのような場面は回避可能かと思います。いずれにしても、患者さんの同意と安全性は確保しておかないといけません。
〝情報開示病院が少ないこと〟も指摘されていますが、27年3月の時点で、情報公開病院は10施設(県立尼崎病院、県立塚口病院、合志病院、尼崎中央病院、関西労災病院、兵庫医科大病院、県立西宮病院、市立芦屋病院、近畿中央病院、市立伊丹病院)で、宝塚市立病院、協立病院(川西)、尼崎医生協病院も3月31日迄には開示予定になっております。6市の各地域の情報公開病院は網羅された事になります。
平成27年3月14日に阪神医療福祉情報ネットワーク協議会が法人として設立され、4月以降ネットワーク協議会がむこねっとを運営していきます。設立総会で入会金5万円、月会費2千円が決定されました。但し4月23日の第1回理事会において、その賦課開始時期については検討される事になりました。〝今なら入会金無料のキャンペーン〟期間が設けられる予定です。
最後にお願いです。今やっとむこねっとが一人立ちしたばかりです。〝這えば立て、立てば歩めの親心〟と言います。私は親ではありませんが、これからむこねっとがしっかり歩んでいく為には、皆さんのご参加と、使用した感想やご意見ご要望をお願いし、あたたかく見守りすくすくと育てて頂ければと願っております。
これにて定期のむこねっと通信は終了致します。

 (参加施設情報:平成27年3月9日現在、基幹病院6施設、中核病院(情報提供型)4施設)、中核病院(参照型)8施設、参加診療所119施設(17↑))