尼崎市性教育講演会 (第560号 平成28年8月1日)

尼崎市性教育
講演会
6・25
産婦人科医会 横田  光
第10回の尼崎市性教育講演会を6月25日(土)に都ホテルニューアルカイックにて開催いたしました。
今年は記念の第10回ということで、第1回にもご講演いただいた北村邦夫先生に「性の健康教育の過去を振り返り未来へつなぐ~今後期待される性の健康教育を考える」をメインに、まずは20年近く尼崎市の性教育の推進に活躍してこられた末包博昭産婦人科医会会長から「尼崎市における性教育の歩みと今後の展開」を、県立尼崎総合医療センター産婦人科部長・性暴力被害者支援センターひょうご代表の田口奈緒先生に「兵庫県における性暴力被害者支援の現状と課題」をお話いただきました。タイトルからもうかがえるように末包先生は尼崎の、北村先生は日本での、これまでの性教育についての歴史的経緯の話が中心となりました。とくに北村先生の1999年の低用量ピル承認にいたるまでの政府との長年の交渉の裏話などは、その話術とあいまって講演というより講談のように引き込まれるもので、現場ですぐ応用できるようなタイプの話ではありませんでしたが、例年どおりに養護教諭の先生方の他に行政・保健所関係からも多数ご来聴頂くことができました。また田口先生からは性暴力被害に対するワンストップセンターでの受け入れの現状や、兵庫県という広い地域の端っこの尼崎で活動することからくる課題と今後の打開策についてのお話などが出ましたが、講演後には個別相談の多数の方につかまっておられました。
性教育を続けていても、その効果はにわかには現れるものでなく、また学生をテストして習熟を判断できるものでもありませんが、学校で(学校に行けない子も含めて)問題が発生したときにどこにつながればいいかを各方面で認識できているのは、尼崎市で本格的に性教育を授業としてはじめてからの約20年でゆっくりと積み上げられてきたのだということを改めて感じました。これからは「性の健康教育」と今時の名称にかわっていくかもしれない性教育ですが、時代で変わるところ・変わらないところのニーズに合わせてながく継続していきたいと存じます。
他の学会やイベントと重なることも多い時期ですが、例年よりも他科の先生方のご参加が増えていたのもうれしいことでした。いつも落ち着いたトーンで司会をすすめていただいている山本千尋先生をはじめ、関係各位のご協力に紙面を借りて感謝いたします。ありがとうございました。