急病診療所の小児科診療時間に関する一部報道に抗議(第547号 平成27年7月1日)

(第547号 平成27年7月1日)
救急担当理事 新藤 高士

6月13日のサンケイ新聞朝刊記事「医師高齢化 診療時間を短縮」について、尼崎市保健部部長と保健企画課課長の2名が、6月15日(月)の庶務会計会議終了後に医師会へ説明に訪れた。13日、橋本副会長が保健所長に記事が出ていることを連絡し、それを受けて保健企画課で調査した結果の報告に来たものである。その席で保健企画課課長は連絡を受けて産経新聞を購入し記事を読んで驚いたと述べた。
 両名の説明は以下のごとくである。
1.平成27年5月28日、市政記者クラブに於いて『休日夜間急病診療所小児科診療時間変更および「あまがさき小児救急相談ダイヤル」の設置について』という資料を配布し、小児科診療時間変更・相談ダイヤル設置の周知を目的とした記者会見をする旨を案内した。30分の記者会見に出席した会社は「朝日」「神戸」「毎日」の3社で出席していない記者クラブ所属の各社には資料のみが配られた。この時対応したのは保健企画課の課長を含めた2名であり、配布された資料は、医師会および市広報でも周知・配布された『休日夜間急病診療所小児科診療時間変更および「あまがさき小児救急相談ダイヤル」の設置について』と、開設時期や相談時間、電話番号、対応者などが記載され、適切な小児救急受診への理解を広げる取組、が記載された1枚ものの資料であった。
2.6月4日の17時頃に市政記者クラブ所属で記者会見に出席しなかった産経新聞記者から電話取材があり保健企画課課長が対応した。以下の応対については録音していないために課長の記憶による。質問内容は、「急病診療所はどういうものか、尼崎市独自のものか、いつできたのか」「こうなった経緯を教えてほしい」「なぜ小児科医が医師会で確保できなくなったのか」「高齢化で医師確保が難しくなるとはどういうことか」「医師会では何人の小児科医が出務しているのか」「内科はどういう状況か」「今回の新しい体制の説明を」といったものであり、課長によると、急病診受診者の小児科専門医に診てほしいという志向が強く、全時間帯の小児科配置につとめたが医師会の小児科医の人数が多くないため困難になった、と経緯を説明した、との事であった。

 行政の記者会見の目的が医師会をおとしめるためのものではなかったことは承知したが、結果的にこのような記事が出てしまったことに対して、医師会内ではメーリングリストが炎上するくらい憤りがあること、急病診のみならず市行政への一切の協力を拒否しようといった意見も出るくらいである。少なくとも、昨年6月10日に受けた仕打ちを乗り越えてようやく来る7月15日からの新しい急病診診療体制に向かうために頑張ろうとしている医師会に水を差す出来事であると強く抗議した。
行政では産経新聞に申し入れをするが訂正記事が出るかどうかはわからない、この件に関して再度記者会見を開く予定はない、との事であった。(6月16日、行政からは産経新聞社に申し入れをした旨医師会へ報告があった)
また、6月4日の神戸新聞には「休日夜間急病診療所 小児科受付短縮」とする記事がでており「市によると、小児科医の確保が難しくなったことが理由だという」と記載されている。記者会見の席で行政は、小児科の診療時間変更について小児科不足を表向きの理由として公表したのであろう事がここでも推測される。ここ最近の急病診療所の小児科診療は非常勤の小児科医を配置することでうまく運営で来ていたことは周知の事実であり、ここにも行政の欺瞞が見て取れる。
医師会としては、全会員への説明をする必要があるために、今回の件に対して保健所がとった対応を文書で医師会に提出する事を求め(6月15日)、また、医師会としても産経新聞に抗議文書を送付する事とした。このことは6月16日の理事会で承認され、産経新聞社への抗議文には尼医ニュース第545号(5月1日号)の森理事が書かれた文書を同封することにした。 
以上 6月16日までの動きです。

尼崎休日夜間急病診療所の診療時間体制における一部報道に対する抗議文についてはこちらをご覧ください。