尼崎市における地域包括ケアシステムの構築を目指して(第555号 平成28年3月1日)

尼崎市における地域包括ケアシステムの構築を目指して 2・20 地域包括ケア・勤務医委員会 副委員長 内藤 武夫 2月20日ハーティホールにおいて表記の会が開催された。いずれも地域包括ケアを先導する2つの地域からの発表であった。一般演題として大阪市東成区医師会長中村正廣先生による東成区医師会における地域包括ケアシステムの取り組みが話され、特別演題として地域包括ケアの先駆者として名高い尾道における地域包括ケアの関する演題をNPO法人「天かける」理事長 伊藤勝陽先生により講演が行われた。原秀憲理事の総合司会の開会のあいさつの後、黒田会長と郷司保険所長のご挨拶に続き、一般公演は内藤が、特別講演は中川純一理事の座長の元、講演が行われた。 一般演題の中村先生は東成区の医師会では地域包括ケアに関する厚労省のモデル事業を受けられており、このような経験を踏まえた話があった。特に今里地区の空き店舗を用いた「新道パトリ(PATRI)」という事業の経過などを中心とした話であった。この「新道パトリ(PATRI)」という事業は空き店舗を改修し認知症を罹患した高齢者を含めた人たちが気軽に寄合い、医療・介護の関係者のみならず地域住民の人たちと集い、このような高齢者を地域で見守るというスキームを医師会が行政と主に作り上げたことが語られた。また、他業種連携の中で情報共有を行う手段としてお守りネット手帳などの話が述べられた。最後に北欧での高齢者に対する介護の現状が語られた。 特別講演では講師の伊藤先生は病診連携に関する取り組みに関し、尾道市民病院改修時の院長職時、尾道元医師会長の片山先生の発案でこの取り組みを始められた点から話が始まり、その後の経過の中で病診連携にICT化が必要であることに関し助言を受け、NPO法人を立ち上げ、現在我々が行っている「むこネット」と同様なICTシステムを用い、基幹病院とかかりつけ医の情報共有、他業種間での情報共有をめざしICT化が図られた経過を話された。 両演者が強調した点は医師・薬剤師・歯科医・看護師・ケアマネジャなど患者に患者・利用者にかかわる人たち同志で顔の見える関係を構築することがまず第一であり、医師としては垣根を作らずに他業種の人間と対応することが重要であることが強調された。 特別講演の質疑応答では残薬管理等について薬剤師・ケアマネージャからの質問もありかつ、ICTに関する実務的な質疑が行われた。 最後に橋本創副会長から地域包括ケア・ICT化の問題点について言及され、今回の2講演のまとめをされ会は閉じられた。