第10回尼崎糖尿病市民フォーラム(第588号平成30年12月1日)

第10回
尼崎糖尿病市民フォーラム
「糖尿病とお薬のお話~進化した糖尿病治療~」
平成30年11月10日(土)午後2時 於:ハーティホール
尼崎市医師会公衆衛生担当理事 髙橋 洋二

尼崎市医師会理事合志明彦先生の司会で開会され、尼崎市医師会会長東文造先生は今年で10回目を迎え、これも参加していただいた市民の皆様のおかげと思います、と挨拶されました。尼崎市医務監郷司純子氏は尼崎市ではヘルスアップ戦略として生活習慣病対策に取り組み、心筋梗塞、脳梗塞の減少を認め、これも市民の皆様のご協力の賜物と考えております、とご挨拶され、尼崎市長稲村和美様からのメッセージもご披露されました。

講演Ⅰ「鍛える体と労わる体」
座長は尼崎市医師会公衆衛生委員会谷口秀典先生で講師は近畿中央病院内分泌内科部長斎藤博先生です。最近、映画で話題になったʻ膵臓ʼがあります(君の膵臓をたべたい)。では、どうして糖尿病になるのか?インスリンは作業員、膵臓は作業員の派遣会社。元気な会社であれば作業員を増員し仕事を維持しますが、それも限界があり会社が弱ってくると作業員の数も減少し、ついに糖尿病になります。糖尿病になると糖尿病三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症を発生します。ようやく本日のテーマ!体には鍛えるものと労わるもの。鍛えるものには筋肉・骨。特に太ももの筋肉が大切です。膵臓は労わる臓器!食事療法・運動療法でインスリンの必要量を減少し膵臓の仕事量を軽減、内臓脂肪を減らしインスリンの働きやすい体が求められます。
質問:糖尿病患者でSGLT2阻害薬を服用しています。尿に糖をたくさん排泄することで腎臓への悪影響はないのでしょうか?
返答:尿に糖が出ることと腎臓がわるくなることとは関係ありません。腎臓の機能の指標は尿蛋白になります。

講演Ⅱ「お薬の効き方を知って正しく安全に糖尿病治療」
座長は尼崎市医師会公衆衛生委員会副委員長の長谷川吉昭先生で講師は尼崎市薬剤師会理事原田祥司先生です。早速、体験です。3分間、静かに目をつぶってみましょうか?・・・はい!3分経過。実は今、昼寝をしてみました(すっきりした!)。初めに尼崎市薬剤師会の取り組みを紹介されました。患者さんの中には尿糖や血糖値を自分で測っている人がおられ、結果を記録し主治医の先生に見せることが重要です。インスリン注射は毎回同じところに注射せず指2本くらいずらして行いましょう。低血糖は初期には空腹感、動悸、冷や汗など、さらに進むとめまい、脱力感など、危険な値まで進行すると意識消失、けいれんを生じます。インスリン注射をしたらすぐにご飯をたべましょう。もし低血糖になったら?ブドウ糖を5〜10g摂取してください。また、ブドウ糖の置き場所を決め、それを家人やヘルパーさんに伝えましょう。外出時もブドウ糖を携帯しましょう。ブドウ糖がない場合は?ポカリスエット(500mlに8gのブドウ糖が入っている)、ファンタ(20g)、コーラ(13g)を飲みましょう(アクエリアスは500ml中ブドウ糖1gと少ない)。インスリンを使っている方は角砂糖やアメでも大丈夫。シックデイについては、お薬の飲み方を主治医の先生に事前に聴いておきましょう。αグルコシダーゼ阻害薬は小腸からのブドウ糖の吸収を抑える薬で必ず食事の直前に服用も、食前に飲み忘れたら食事の途中であれば飲んでも構いません。αグルコシダーゼ阻害薬を服用中の低血糖にはブドウ糖しか効きません!DPP4阻害薬は膵臓に働き、SGLT2阻害薬は尿に余分な糖を排泄するお薬です。ともに低血糖を起こしにくいですが併用薬があると低血糖の可能性があります。糖尿病治療に大切なことは食事療法、運動量が基本でそこに薬物治療が加わりお薬だけでは治療ができません。
質問:ジャヌピアを服用していますが、血圧の薬を一緒に服用してもよいか?また朝食後の服用指示であるが夕食後に服用しても問題ないか?
返答:血圧の薬と一緒に服用することも、夕食後に服用することも問題ありません。

長谷川先生から本フォーラムは尼崎市医師会、尼崎市歯科医師会、尼崎市薬剤師会で考えて開催されており、これからも3師会をよろしくお願いします、と紹介されました。最後に尼崎市医師会公衆衛生担当理事中川勝先生が改めて斉藤先生、原田先生に御礼を申され、本日の勉強した内容を明日から日常で活用しましょう、と挨拶され閉会となりました。
協賛の近畿中央ヤクルト販売株式会社、株式会社ローソン、サノフィ株式会社、フクダ電子株式会社からは、参加者にブランパンと蕃爽麗茶がレジ袋で配られ、ホール前の部屋で血管年齢測定が行われました。血管年齢測定は講演の間の休憩時間と講演終了後に行われましたが、希望者多数で測定を受けられない方も大勢おられました。
今回は園田学園の学生さんたちの参加もありましたが、171名と満員御礼の参加があり質疑応答も多く、盛況なフォーラムとなりました。