第7回 尼崎市民禁煙フォーラム (第571号 平成29年7月1日)

第7回
尼崎市民禁煙フォーラム
5・27
地域保健担当理事 合志 明彦
受動喫煙防止法の審議はタールのせいでしょうか?ベタベタになってしまいましたが、そのような状況とは正反対にスッキリ五月晴れの5月27日 第7回尼崎市民禁煙フォーラムがハーティホールで開催されました。尼崎健康医療財団看護専門学校の学生さん70名 一般参加の方が26名 医師会関係者を含めると合計116名のご参加をいただきましたが、行楽日和であったせいでしょうか? 学生さんが座る席以外では例年より空席が目立ちました。
タイトなスケジュールの中でご参加いただいた稲村市長は、冒頭の挨拶で昨年当フォーラムで発表された「尼崎たばこ対策宣言」の取組状況を報告され、結果不十分なところもあるので更に推進するとの意志を表明しておられました。
基調講演1は、公衆衛生委員会副委員長 山前浩一郎先生の座長で、日本タバコフリー学会代表理事の 薗 潤 先生にご講演いただきました。今まで当フォーラムのテーマは 喫煙者自身への健康被害、受動喫煙による健康被害、禁煙希望者への支援などが中心でしたが、「スモークフリー尼崎への提言」と題された講演は少し方向が違いました。受動喫煙防止の話になると、非喫煙者からは「お役人が平気でたばこ吸うてるから禁煙が進まへん」とか、喫煙者からは「役所が禁煙やないのになんで民間だけ禁煙にせなあかんねん」などと、どちらからも評判が悪かったことを受けて? 市民に模範を示すべく市役所から始めた「尼崎タバコ対策宣言」の取り組みを 薗先生をはじめとした兵庫県タバコフリー協会の方々が検証をされました。市役所北館地下公用車駐車場の喫煙場所は一般市民に存在が知られておらず、利用はほぼ職員だそうです。なんと、その場所に1日張り付いて利用者数のカウントをされたのです。その結果、勤務時間内の利用者は約半分に減ったようですが、勤務時間外である昼休み時間の利用者に変化はなく、禁煙宣言から卒煙に至った方は少ないのではないか推察しておられました。また、喫煙による勤務時間ロスも本庁だけの喫煙による損失額(タバコタイムサラリー)は7708万2970円にもなり市全体になると更に高額であると納税者の立場から指摘しておられました。その他にも、市の禁煙対策の矛盾する部分をいくつか指摘されました。残念ながら、市長は公務で途中退出されましたが、この結果を見るとトップダウンだけでなくボトムアップ、つまり労働組合の協力も重要であり、労働者の健康保持に協力をいただくために、労働組合とタイアップした市役所内での当フォーラム開催も意味があると思われました。
開演前と講演間の休憩時間にフクダ電子株式会社さんのご協力で、一酸化炭素測定を行い、この日の参加者の中でたった一人の?喫煙者だった看護学校学生さんの呼気一酸化炭素濃度は正直に高値を記録しました。基調講演2の座長公衆衛生委員会 委員長 長谷川吉明先生から、厳しい(あたたかい?)指摘を受けて医療人としての心構えを新たにされたようでした。
基調講演2は、公衆衛生委員会のメンバーで塚口で はら内科クリニックを営まれ、日本呼吸器学会専門医・指導医の 原 秀樹 先生に演者を勤めていただきました。「きれいな肺を取り戻しませんか? 中学生でも知っているタバコの怖さ」という演題で中学生の禁煙啓発活動を紹介されました。それによると十分に健康被害について知識を持っており、喫煙世代が死に絶えれば喫煙という習慣を博物館に閉じ込められると感じさせられました。さらに呼吸器科的見地からも喫煙習慣のメカニズム健康被害など禁煙フォーラムの基本と言うべき部分、更に喫煙者の呼気や室外に出たベランダ喫煙など最近話題の三次喫煙被害(サードハンドスモーク)についてもお教えいただきました。
この稚拙な報告文を書いている頃になって思うのですが、お二人の講演でも触れられておりましたが、巷では喫煙の免罪符としての地位を得てしまった感がある加熱式タバコについても更に踏み込んでいただけたらと思いました。