学校保健委員会・養護教諭との懇談会に出席して(第549号 平成27年9月1日)

(第549号 平成27年9月1日)
学校保健担当理事 中川 勝

去る7月31日金曜日の学校保健委員会の後、年に1回の学校保健委員会・養護教諭との懇談会が開催された。
 例年のごとく、まず養護教諭側から事前に質問があった項目についての口頭説明があり、これに対して学校保健委員の担当者が答えるという形式で行われた。
 内科検診では学校側から内科検診の健診内容と健診結果記載するが内科検診マニュアル番号をよく知らない新任の校医がいる。この先生方に研修等は無いのかという質問に対して校医の新任時に地区会を通じて指導していることを説明した。
 眼科検診では色覚健診についてこの度は小学校4年生の希望者に実施する通達があった。検診時に異常や疑いがあった生徒に結果を通知するときに眼科校医の同席・協力が得られないか、という依頼があったが、一つだけの検診法では限界があり、疑わしい場合は積極的に専門医に紹介してもらいたいと眼科医側から返答があった。
 耳鼻科健診では、健診対象者を全員とせず、抽出している学校が6校あった。これを全員に実施して頂きたいという依頼に対してマンパワーの点がネックであるが、基本的には全員検診するべきであると返答があった。また各学校の検診生徒人数の割り当てで、主任校医2/3、協力校医1/3とされているが取り決めはあるのでしょうか、という問いに対してはそういう取り決めは無いと説明した。
 脊柱側湾検診では、校医の先生と相談の上、水着を着用して検診している学校がある。検診を行うにあたり子どもは、恥ずかしがることなくスムーズに受けることができたと聞いている。水着を着用しての検査実施を検討してもらえないか、という依頼があった。この件は昨年の懇談会でも問題になったが、脊柱側湾の診断は訴訟問題になることもあり、生徒には通常のブラジャーは可能だが、背中を覆う部分の多いスポーツブラは好ましくないと伝えていました。しかしながら校医側にも医師会を通じての連絡不十分があり、養護教諭側にも趣旨が伝達されていないと言うことは、今後も問題が起こる余地があると私には思われた。
 その他、流行性耳下腺炎の出席停止期間に関して、医師会側は反対側の遅れて起こった耳下腺の腫脹が収まるまでに停止して欲しいと養護教諭側に論文資料を通じて説明した。感染性腸炎では生徒に症状があっても登校してくる生徒がいるので、出席停止と診断された場合は、その旨を保護者に伝えて欲しという要望もあった。しかし通常よほど嘔吐下痢が激しくない限り医師は出席停止と診断しないであろうと説明した。
 次に医師会から養護教諭側への質問と要望では
 色覚検査の対象者に関しては学校側としては先にも述べたように小学校4年生の希望者に実施の予定であると返答があった。
 運動器検診は現在どうなっているか、との医師会側からの問いに対し、学校保健課から平成27年度から実施されることは決定されているが、詳細はまだ決まっていない。現在の内科検診の中で行うには時間的に無理があるので、今ある保健調査票に新たな項目を追加し、家庭・学校でチェックして、異常があれば専門医に紹介する案を検討中であると回答があった。医師会としても全校医会での健診法の講演も考えている。しかし早くても来年の開催になってしまうことが問題である。ストップロコモ(SLOC)のホームページに検査手順の見本が発表されているが、このページも参考になるのではないかと考えている。
 禁煙啓発カレンダー図案に関する小中学校側からの応募が減少していることは、応募を活発化するように啓発を依頼した。
 その他医師会側からの要望として、学校検尿の採尿時注意点として生理時の採尿はやめて欲しい。また食事前早朝尿の採尿に関して、もし採尿を忘れたら代わりに登校後1限目終了時の採尿をお願いしたいと依頼した。
 最後に今回の懇談会では、活発な議論に加え、養護教諭側から学校医に対する感謝の言葉が今回多かったのが印象的でした。